2016年1月31日日曜日

裸足

地域:大洋州
国:ソロモン諸島
テーマ:文化の違い、先入観

この写真をみて気づいたことを教えてください。
(自由に発言をさせる)


<※裸足についてコメントがなかった場合は「子どもたちの足元に注目してください」などと言って注意を促す。>

この写真は南太平洋にある小さな島国、ソロモン諸島で撮影されたものです。島ではたくさんの人が裸足で歩いています。田舎の土の道ではもちろん、写真のようなアスファルトの上でも、子供、老人問わずペタペタと裸足で歩いています。

「ソロモン諸島の人たちはなぜ裸足で歩くのでしょうか?」
(自由に発言をさせる)

靴が買えないほど貧しいわけでも、お行儀が悪いからでもありません。
彼らは靴やサンダルを持っていても裸足で歩くんです。なぜなら、それが彼らにとっての「当たり前」であり、「普通」だからです。私たち日本人からすると、靴を履かないで外を歩くことは「おかしい」ですよね。でも、それが「普通」の世界もあるんです。

何かの時に裸足になって外を歩いてみるのもいいかもしれませんね。

歩く先に危ないものが落ちてないかな?
石を踏むと痛いでしょう。どこを歩くと痛くないかな?
コンクリート、土、芝生、それぞれの温度や感触はどう?
きっと今までと違う感覚に戸惑うかもしれません。
気持ちいい?それとも嫌?どんな気持ちになるかな?

ふと「これっておかしいなぁ」と思ったとき、おかしいから悪いんだと切り捨てることをせず、裸足で歩くソロモンの子どもたちのことを思い出して一歩踏み出してみてください。もしかすると新しい世界の入り口に足を踏み入れているのかもしれませんよ。

【語り手の想い】
友達の当たり前と私の当たり前。違っていて当然のものを盲目的に同じ意識を共有していると思っていることが時には「偏見」や「差別」、そして学校においては「いじめ」などといった問題にもつながっているのではないでしょうか。遠くの世界の話としてだけでなく、身近な話として捉えてもらえると嬉しいです。

語り手/写真:大庭隆
活動時期・形態:2011-2013 ・青年海外協力隊(村落普及員)
聞き手:糀広大

2016年1月26日火曜日

美意識の違い

地域:大洋州
国:ミクロネシア連邦(チューク州)
テーマ:文化の違い、メディアリテラシー

あなたは好きな人からどのように声をかけられる(褒められる)と嬉しいですか?
(考える&発表など)
(「かわいいね」「かっこいいね」などの意見が出た場合は、具体的にどうかわいいか、かっこいいかなどについて質問し、深める)

ミクロネシア連邦のチューク州では
「君の足はマグロのようだね」
というのが女性への最高の褒め言葉です。
(一本のマグロを見たことのある子どもはあまりいないと思われるので必要に応じてマグロの説明をする。まるで一本のマグロのように立派で太い足であることを褒める表現であることを理解させる)

そんなことを、もし女性に言うと日本ではきっと大喧嘩になるでしょう。

さて、この写真を見てください。
この人を見て、あなたは美しいと思いますか?
(写真を見せる)



ミクロネシアでは太っている人がものすごくモテます。
日本では痩せている方がいいという人が多いですよね。

そして、多くの日本人が自分は太っていると感じています。
実際に、医学的に肥満である日本人は20%程度であるはずなのに、60%から80%が自分は肥満であると考えているという調査データがあるそうです。

では、多くの人がどうして痩せている方がいい、自分は太っていると考えてしまうんでしょうか?
よーく考えてみましょう。
そう思ったきっかけはなんですか?

【書き手の思い】
ダイエットの情報番組などで、十分に痩せている女優さんなどが真面目な顔をして「やせたーーい」などと発言をするのを見るたびに違和感を感じます。
最後の問いへの答えを考える中でコンプレックス産業、ダイエット産業などによる価値観の刷り込みへの気づきや、私たちの感性の源泉を見つめなおすきっかけになればと思います。


活動時期・形態:2011-2013 ・青年海外協力隊(小学校教諭)
書き手・撮影:糀広大

2016年1月25日月曜日

電車内のマナー?

地域:アジア
国:中国(内モンゴル)
テーマ:文化の違い

電車に乗った時のマナーを挙げてください。
(考える時間、発表など)

そうですね。みなさんはマナーを守れていますか?
それでは、この写真を見てみてください。

【写真は調達中※後日アップします】
どんなことを感じましたか?
(考える時間、発表など)

「年齢は?結婚してるの?給料はいくら?」
中国では、電車にのっているととにかく話しかけてくるようです。
車内は騒然としていて耳を塞いでいても聞こえてくるぐらいだとか。

特に、日本人は珍しいようで乗車していると数十人に囲まれて質問攻めになることも少なくないのだとか。

ある時、久保田さんがいつものガヤガヤと騒がしい車内で「うるさいな」とストレスを感じながら、たまたま乗り合わせた大学生と交流していると彼がとても楽しそうに「にぎやかだね」と言ったそうです。

同じ場所で、同じ音を聞いて。
「うるさい」と「にぎやか」

その日以来、久保田さんは「にぎやかな」電車に乗るのが楽しくなったのだとか。
ものの見方や考え方次第で世界の見方がガラリと変わることもあります。

【合わせて面白い話】
中国では電話をするときに(電車の中などでも)大きな声で話すそうです。
なぜだかわかりますか?
それは、小さな声で話しているとやましいことを話していると思われるからだそうです。
電話はとらない、もしくはどうしても仕方ない時は小さな声でするのが日本のマナー。
大きな声で話すのが中国のマナー。

同じシチュエーションなのに全く違う。面白いですね。


語り手:久保田なほみ
活動時期・形態:2013-2015・青年海外協力隊(日本語教師)
聞き手:糀広大

「中国」のイメージ

地域:アジア
国:中国(内モンゴル)
テーマ:先入観、メディアリテラシー

中国と聞いてどんなことをイメージしますか?
(考える時間、発表など)

中国への派遣が決まった時、親からの強い反対があったそうです。
久保田さん自身も、なんとなくネガティブ(いやな)イメージがあり、現地に着くまで不安でいっぱいでした。

到着してからしばらく北京に滞在中は、晴れていても太陽が霞んでおり、PM2.5対策のマスクを外せない状況だったと言います。
しかし、自分の任地である内モンゴルの通遼市(つうりょうし)に到着して空を見上げた久保田さんは息を飲みました。 

(写真を見せる。)



この写真をみて何を感じましたか?
(考える時間、発表など)

最初の「中国」と聞いた時のイメージと比べてどうですか?
(考える時間、発表など)

どうして、「中国」と聞いた時に最初のイメージのような言葉が多く出てきたのでしょう?
(考える時間、発表など)

出てきた意見の中から気づきをまとめる。

【語り手の思い】
中国に自分が住んでみて、その広大さを知り、「中国」とひとくくりにできるような話はないことに気づきました。中国に対する一方的でネガティブなイメージがあるのであれば、それが少しでも変わり、日中友好のきっかけになると嬉しいです。
【実施する上でのヒント】
伝わりにくい場合は日本が世界からどのように見られているのかなどについても言及してもよい。
(東京の高層ビルが立ち並ぶ写真や、時代劇の一場面などを見せて、外国の人がこれを日本であると思っているとしたらどうか?)


語り手/写真:久保田なほみ
活動時期・形態:2013-2015 ・青年海外協力隊(日本語教師)
聞き手:糀広大