2016年2月18日木曜日

「豊かな」食卓

地域:アフリカ
国:マダガスカル
テーマ:食文化

どこの国の食卓でしょう?




そう思ったのはどうしてですか?

実は、これはマダガスカルの食卓です。
左下にご飯がもりもりに盛られていますね。

もしかしたら、みなさんにとって意外かもしれませんが、日本人よりもマダガスカルの人の方がお米を食べます。
(お米を食べる量の世界ランキングで日本は50位、マダガスカルは10位:2015年トリップアドバイザー調べ)

マダガスカルの気候は米栽培に適しているので、自国で作ったお米を食べています。



でも、天候の影響などで不作の年は住民は飢えの問題に直面するそうです。
日本で生活しているみなさんにとって食べ物の収穫量が生死に直結するかもしれないという状況を想像できますか?


※コメント
佃さんは、現地で生活をする中で「食べること=生きること」と強く実感したそうです。
日本とは違って屠殺の現場を見ることも多く、そのたびに命について考え、米の収穫量が落ち込み、実際に食べ物が手に入りにくくなったときなどには日本の食料廃棄(フードロスト)をしている状況がいかに特殊で、おかしいことかに頭を抱えたそうです。
マダガスカルは非常に貧しい国でしたが、少しのおかずとご飯で、楽しそうに食べる姿や、どんなに貧しくてもさらに貧しい人たちに食べ物を分け与える文化が根付いており、そのような様子を見るたびに、日本よりも「豊かな」マダガスカルの人たちを発見したといいます。
日本人にとって「豊かさ」とは何か。もう一度問い直す必要があるのかもしれません。

語り手/写真:佃麻美(つくだまみ)
活動時期・形態:2009-2011 ・青年海外協力隊(村落開発普及員)

聞き手:糀広大

ハゲ山と牛

地域:アフリカ
国:マダガスカル
テーマ:環境問題

この写真をみてください。
何が見えますか?



マダガスカルではもともとあった90%の森林が失われたと言われています。
焼き畑のため、野焼きのため、そして時には燃料として、また近年では地下資源を採掘するためにも木が切り倒されています。
さまざまな理由はあれども、次々と失われていった豊かな森林。
マダガスカルの豊かな生態系を壊しています。
(マダガスカルにはさまざまな珍しい動物が生活をしています。童謡として有名なアイアイなどもマダガスカルの固有種である話や、映画のマダガスカルの話などを通じてマダガスカルの動物たちの話をするのも◎)



この写真は一見きれいに見えるかもしれません。
でも、この広がる黄緑の山間ももともとは豊かな森林が広がっていたと言われるとどうでしょうか?

マダガスカルの残された10%の森林を守るために、何ができるのでしょう。


※コメント
「森林をつぎつぎに消費しているマダガスカルの人が悪い」といった単純な話ではない。
マダガスカルは世界の中でも最貧国の一つ。
森林を切り拓かなければいけないのには理由があり、そこに日本も無関係ではないということを自覚したい。

語り手/写真:佃麻美(つくだまみ)
活動時期・形態:2009-2011 ・青年海外協力隊(村落開発普及員)
聞き手:糀広大

何もない道

地域:中南米
国:ボリビア
テーマ:ライフサイクル、文化の違い

「これは何をしているのでしょう?」




これはボリビア式ガソリンスタンド(?)の給油風景で、ガソリンを入れている女性はお店の方です。
このように、2Lのペットボトルにガソリンをつめたものを、一本ずつ買うことができます。こうすれば、何本入れたかで料金も計算しやすいですよね。ちょっと保管状態が気になりますが・・・

ボリビアでは日本のようなガソリンスタンドは大きな町にしかありません。ちょっと地方に行くとこのような感じです。特に長距離バスのドライバーさんは、一回給油したら次の給油場所をきちんと考えて毎回給油しています。

だいたい、田舎の道といえば、こんな風に何もありませんから・・・


途中に横切るのはヤギか羊かリャマぐらい。


時々、こんな何もないところで下車して、山の方に向かって歩く地元の人を見ました。お家でもあるのかな?家は全く見えないけど・・・

ボリビアでのバスの旅は、舗装されていないガタガタ道を何十時間も揺られ、硬いシートでお尻が痛くなり、大音量のアクション映画上映会と過酷なものですが、どこに行くとも知れない途中下車したおじいちゃんの後姿を眺めながらその暮らしを想像したり、乗り合わせた子どもたちと遊んだり、物売りのおばちゃんから屋台料理を買ったり・・・。そんな車中で、目的地の先にある「新しい発見」を想像しワクワクすることは、とても楽しく退屈だと感じることはありませんでした。

新幹線や飛行機の旅では、決して得ることの出来ない風景です。



※コメント
日本に住んでいると、どうしても「早い方」「楽な方」を選択する機会が多くなります。でも、それもしょうがないかも知れませんね。そういう社会の流れ、生活のスタイルですから。ボリビアでは、「早い方」「楽な方」が選択できる人は、本当にごくごく一部の限られたお金持ちだけです。しかし、そういう選択をしなくても、お金では買えない素晴らしい風景や経験もあります。どういう選択するのは個人の考え次第ではありますが、お金が無い不便さは決してマイナスな訳ではないということを考えるきっかけになればと思っています。

語り手・写真:橋口恵利子
活動時期・形態:2006-2008 ・青年海外協力隊(視聴覚教育)

選挙の準備はできていますか?

地域:中南米
国:エルサルバドル
テーマ:選挙、民主主義


こちらは、エルサルバドルの首都サンサルバドルのとあるスーパーのお酒売り場です。
「これ、いったいどういう状況でしょう?このテープはナニ?」


エルサルバドルでは、選挙の前日・当日・翌日の3日間、全国で酒類の販売禁止令が施行されます。これはスーパーや商店での酒類の販売禁止や飲食店での酒類提供の禁止も含みます。スーパーではお客さんがお酒を買わないように、このようなテープを張って「今日はお酒が買えない日です」とお知らせしているのです。

「なぜ、選挙の日はお酒が買えないんだと思いますか?」

エルサルバドルの選挙はなかなか情熱的。みな、自身が推薦する候補者や政党があり、その支持している候補者(または政党)のために熱心な支援活動を行います。対立する候補者の支援団体と鉢合わせになろうものなら、いつ紛争状態になってもおかしくありません。


ですので、特にヒートアップするこの3日間はお酒の販売を禁止し、少しでも安全に選挙が行われるようにという意味があります。


そんなエルサルバドルの選挙で私が一番おどろいたのは、子どもたちが選挙運動に参加していることです。先に述べたように、選挙運動にはとても危険が伴うのに、親たちは子どもも引き連れて参加し応援させます。写真の子どもたちはほとんどが10代だと思われ、中央に座っている男の子は小学生でしょう。もっともっと小さな子も参加しています。


エルサルバドルでは満18歳以上の人が選挙権を持つこととなっていますが、このように選挙権が与えられる前から選挙に関わることで、「自分が応援する人。自分が応援する政党。自分が支持する政策」などを、きちんと考えているように思えます。中学1年生の女の子たちが、どの政党を支持するか、その理由までちゃんと話しているのも聞いたことがあります。
危ない選挙運動の場に子どもを連れて行くことについては、個人的には賛成していないのですが、子どもたちが選挙を通して自分の国を作っていくと言う流れを理解していることはとても感心することでした。

日本もまもなく18歳から選挙に参加できるようになります。みなさんは、エルサルバドルの選挙について、どのように感じますか?



※コメント
私自身も、エルサルバドルでの選挙運動を目の当たりにして、日本の選挙、いや自分自身の選挙に対する考えがずいぶんと変わりました。エルサルバドルは1992年まで12年間、長く内戦状態にあった国で、未だ開発途上国と呼ばれる国ではありますが、自分の国を自分たちで何とかしなければと言う思いは私たち日本人よりも大きいように思います。日本の子どもたちにとって、選挙はあまりにもかけ離れた位置にあるように感じます(自分もそうでした)。しかし間もなく、18歳になれば選挙に参加する義務が生じることになります。エルサルバドルの選挙運動について賛否はありますが、是非、同じ年頃の子どもたちが選挙について真剣に考えていると言うことを知り、考えるきっかけになればと思っています。



語り手・写真:橋口恵利子
活動時期・形態:2012-2014 ・シニア海外ボランティア(番組制作)

2016年2月3日水曜日

島国の大問題

地域:大洋州
国:マーシャル諸島(クワジェリン)
テーマ:環境問題、海面上昇

この写真をみてください。
何の写真かわかりますか?




そしてこちらが別の日にほとんど同じ場所を撮影した写真です。



マーシャル諸島のクワジェリン環礁にあるイバイ島の中心部からグジグ村に行くために必ず通らないといけない道の写真です。
下平さんは毎日この道を通って仕事に行っていました。

海抜が低いマーシャル諸島では、年に2回ほどの大潮のひどい時に一枚目の写真のように、道が海水で水浸しになるそうです。もともときれいに舗装されている道ではく、簡易に埋め立てているだけのため、水浸しになると柔らかい地盤になってしまい車などは足を取られてしまいます。


<写真:足を取られて動かなくなってしまったバス>

マーシャル諸島の平均海抜が2メートルであると言われています。
平均海抜が2メートルというのは、もし海面がたった2メートル上昇してしまうだけで生活できなくなってしまうということです。

もし近い将来に皆さんの住んでいる街が海に沈んでしまうかもしれないと言われたらどうしますか?
遠くの外国の話ではなく、自分のことだと捉えてみるとさっきの写真が違って見えてきませんか?

語り手/写真:下平健太
活動時期・形態:2011-2013 ・青年海外協力隊(理数科教師)
聞き手:糀広大

2016年2月1日月曜日

バンジージャンプ

地域:大洋州
国:バヌアツ共和国
テーマ:伝統文化、文化の違い、通過儀礼

皆さんは大人ですか?
それとも子どもですか?

それはなぜですか?
では、いつ、どのようにして大人になるんでしょうか?

次の写真をみてください。


何の写真でしょうか?
どうしてこんなことをしていると思いますか?

これはバヌアツ共和国のペンテコスト島で島民がバンジージャンプ(現地語でナゴール)をしている写真です。
14歳前後になると、男の子は大人になるためにこの儀式に参加しなくてはいけません。
この儀式を通じて自分の強さと度胸、そして村の豊作を祈るのです。

もう一度、聞きます。
皆さんは大人ですか?
それとも子どもですか?
それはどうしてでしょうか?

【実施にあたって】
日本にも、元服(髪型や名前が変わる)のような子どもから大人へと変容させる通過儀礼があったことなどに絡めつつ、現代日本における通過儀礼は何であるか。人は何を持って大人になるのかなどについて考えるきっかけになるかもしれませんね。

語り手:山田泰子
写真:今井考輝
活動時期・形態:2011-2013 ・青年海外協力隊(看護師)
聞き手:糀広大